COPD(慢性閉塞性肺疾患)

 

階段を上がるときの息切れや長引く咳や痰はありませんか?

これらは加齢や風邪によるものとして見逃されがちな症状ですが

長期にわたる喫煙歴を経て発症する「COPD」という肺の病気かも知れません。

40歳以上の日本人で「COPD」にかかっている人は530万人と推定されています。

一方、2017年の厚生労働省患者調査によると、病院で「COPD」と診断された患者さんの数は

22万人です。つまり、受診していない人は500万人以上いると考えられ、

その多くの人々が、気づいていないか、診断されていないことになります。

 

「COPD」になると、気道や肺胞などの組織が破壊されてしまったり、痰により気道が狭くなり、

肺炎などの呼吸器感染症を起こしやすい状態になっています。

感染が生じると気道や肺組織の破壊がさらに進み、急激に悪化してしまうことがあります。

重症になると、携帯用酸素ボンベなどを用いて、酸素補充を必要とする場合や、死に至る場合もあります。

日本人の有病率は40歳代から徐々に増加し、60歳代以降に高くなっています。
また、喫煙者と喫煙経験のある人は非喫煙者よりも有病率が高く、

過去に喫煙をしていた方であっても、現在喫煙をしている方と同程度の割合で「COPD」を有していたことが報告されています。

 

「COPD」が進行すると、息切れによって身体の活動性(運動量・活動量)が低下したり

食事量が減り、栄養障害や筋肉量・筋力の低下、骨粗鬆症などの心身が衰えた状態(フレイル)をもたらすことがあります。

また、肺と気道の炎症の影響が全身におよび、心筋梗塞、狭心症、脳血管障害などを引き起こすことがあります。

このように、病気の進行を放置するとさまざまな合併症をもたらす可能性があります。

症状による日常生活への影響が小さいうちに治療を開始・継続することで、重症化を防ぎ、

将来の医療負担を増大させないことにつながる可能性があります。

 

「COPD」の進行を今くい止めるために、気になる症状がある場合は早めに医師にご相談ください。