疥癬
疥癬はダニの一種である「ヒゼンダニ」がヒトの皮膚に寄生しておこる皮膚の病気で、
腹部、胸部、大腿内側などに激しいかゆみを伴う感染症です。直接的に肌から肌、
また、衣類やリネン類を介して間接的にヒトからヒトへ感染します。
疥癬には、通常疥癬と角化型疥癬の2つのタイプがあります。
通常疥癬で寄生するヒゼンダニの数は数十匹以下ですが、角化型疥癬では100万~200万匹であり、
その感染力に大きな違いがあります。
■通常疥癬
長い時間、肌と肌、手と手が直接触れることで、ダニが移動して感染します。まれに、
患者さんが使用した寝具や衣類などを交換せずにすぐ他の人が使用することで感染する
こともあります。感染してから症状が出るまでの潜伏期間は1~2か月です。
塗り薬か薬か飲み薬のいずれかによる薬物療法により、若い人はほぼ全員、高齢者でも
75%は治ります。
■角化型疥癬
ダニが多く、感染力が強いため、短時間の接触、衣類や寝具を介した間接的な接触などでも感染します。
また、剥がれ落ちた角質にも多数の生きているダニが含まれていて、それが付着することでも感染します。
角化型疥癬の患者さんから感染する場合、4~5日後に発症することもあります。
なお、角化型疥癬患者から感染した場合でも、まずは、通常疥癬として発症します
飲み薬と塗り薬併用の薬物療法により治療しますが、高齢者の場合、治った後も
6カ月程度のフォローアップが必要です。
疥癬には確立した予防法がありませんが、適切な治療を受ければ短期間で治ることが多い感染症です。
本人のためだけではなく、感染を広げないためにも、皮膚に掻痒感があり、赤い乾燥した皮膚の盛り上がりがある。
時に、疥癬トンネルと呼ばれる線状の皮疹が認められるなど、疑わしい症状があれば、
出来るだけはやく発見し、専門医の治療を受けることが大切です。